カテゴリ: 暦と基本用語
ニ十四節気
二十四節季
旧暦=太陰太陽暦は、季節を正確に知るために二十四節気や七十二候によって補正されています。新月から新月までの周期を一朔望月といい、29.530588日です。太陰暦では30日(大の月)と29日(小の月)を交互に6回づつおくので1年は354日になります。ところが朔望月を12倍すると354.36705日で、その差は0.36705日となり、30年で11日の差になってしまいます。これを縮めるために11回、355日のうるう年を入れて調節しました。 一方、季節を正確に知るための1太陽年は、365.2422日です。朔望月の12倍と比べると約11日長いです。そこで両方をできるだけ近づけるために19年間のうち、1年を12ヶ月とする年を12回、1年を13ヶ月とする年を7回入れることにしました。こうすると太陽年と12朔望月との差は19年で1.086日となり、220年で約1日の差になります。これが旧暦=太陰太陽暦です。 うるう月が19年に7回入ると暦の上での月日が季節に対して1ヶ月もずれることがあり、暦に季節の推移を示す基準点として二十四節気をおきました。二十四節気は下記の表でもわかるように太陽年の長さを基に決められています。月のめぐりとは関係がありません。立春から次の立春までは約365日。この事実を利用して旧暦では日付けと季節のずれを調節したのです。 二十四節気は、節と中からなっています。太陽が黄道(地球から見て太陽の通る天球上の道)を24等分し、太陽がその24の境目の点を通かする時が二十四節気のそろぞれに当たります。各節気の間は15度です。太陽が黄道を運行する速度は一定ではないので中から中までの期間は29日10時間から31日11時間となり、1暦月の内に中が2つ入ることもあり、1つも入らないこともあります。それでも、季節感のない生活には旧暦はなかなかいいものです。| 四季 | 名称 | 節気 | 2009年 | 説明『暦便覧』1788年より引用。 |
| 春 | 立春 | 正月節 | 2/4 | 春の気立つをもってなり。 |
| 雨水 | 正月節 | 2/18 | 陽気地上に発し雪氷溶けて雨水となればなり。 | |
| 啓蟄 | 二月節 | 3/5 | 陽気地上に動き、ちじまる虫穴を開き出ればなり。 | |
| 春分 | 二月中 | 3/20 | 日天の中を行き昼夜等分の時なり。 | |
| 清明 | 三月節 | 4/5 | 万物発して清浄明潔なれば、この芽は何の草としれる也。 | |
| 穀雨 | 三月中 | 4/20 | 春雨振りて百穀を生化すればなり。 | |
| 夏 | 立夏 | 四月節 | 5/5 | 夏の立つがゆへなり。 |
| 小満 | 四月中 | 5/21 | 万物盈満すれば草木枝葉繁る。 | |
| 芒種 | 五月節 | 6/5 | 芒のある穀物、稼種する時なればなり。 | |
| 夏至 | 五月中 | 6/21 | 陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以ってなり。 | |
| 小暑 | 六月節 | 7/7 | 大暑来れる前なればなり。 | |
| 大暑 | 六月中 | 7/23 | 暑気いたりつまりたるゆへなればなり。 | |
| 秋 | 立秋 | 七月節 | 8/7 | 初めて秋の気立つがゆへなればなり。 |
| 処暑 | 七月中 | 8/23 | 陽気とどまりて、初めて退きやまんとすればなり。 | |
| 白露 | 八月節 | 9/7 | 陰気ようやく重なりて露こごりて白色となればなり。 | |
| 秋分 | 八月中 | 9/23 | 陰陽の中分なればなり。 | |
| 寒露 | 九月節 | 10/8 | 陰寒の気に合って露結び凝らんとすらんとすればなり。 | |
| 霜降 | 九月中 | 10/23 | つゆが陰気に結ばれて霜となりて降るゆへなり。 | |
| 冬 | 立冬 | 十月節 | 11/7 | 冬の気立ち初めて、いよいよ冷ゆればなり。 |
| 小雪 | 十月中 | 11/22 | 冷ゆるが故に雨も雪となりてくだるが故なり。 | |
| 大雪 | 十一月節 | 12/7 | 雪いよいよ降り重ねる折からなればなり。 | |
| 冬至 | 十一月中 | 12/22 | 日南の限りを行きて、日の短きの至りなればなり。 | |
| 小寒 | 十二月節 | 1/5 | 冬至より一陽起こる故に陰気に逆らう故、益々冷える也。 | |
| 大寒 | 十二月中 | 1/20 | 冷ゆることの至りて甚だしきときなればなり。 |
十干
十干って?
十干(じゅっかん)は 甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)の総称です。干の意味
中国・殷の時代には太陽が10個あるという神話があり、 毎日違う性質の太陽が昇ってくると考えていました。 その10種類の太陽を区別するために1日ごとに名前をつけました。 それが干です。 その日に生まれた者は、その日の太陽の性質を受け継ぐと考えられました。 この太陽が一巡する10日間を表すものとして旬という単位が生まれました。 上旬・中旬・下旬という言葉はこれにもとがあります。 旬の中の何番目に当たるかを表す記号が干です。 1旬は10日ですから干は10種類あります。1週間の各曜日に月曜などの名前がつけられているのと同じ考え方です。十干の種類と意味
十干の語源は、草木の生長過程を十段階に分けて名付けられたものです。 それは以下のようになっています。 ・甲 甲は「冑=よろい」。種子が発芽するにあたってまだ厚皮を被っている状態。訓読みでは、きのえ。 ・乙 乙は「軋=きしる」。芽がまだ伸長していないで屈曲している状態。訓読みでは、きのと。 ・丙 丙は「炳=あきらか」。草木が伸長してその姿形が明かになった状態。訓読みでは、ひのえ。 ・丁 丁は「丁壮=壮年男子」。草木の姿形が充実した状態。訓読みでは、ひのと。 ・戊 戊は「茂=しげる」。草木が繁茂して盛大となった状態。つちのえ。 ・己 己は「紀=すじ」。 草木が十分に繁茂して盛大となり、かつその筋道が整然となった状態。訓読みでは、つちのと。 ・庚 庚は「更=あらたまる」。草木が成熟して結実した結果、自ら新しいものに 再出発しようとする状態。訓読みでは、かのえ。 ・辛 辛は「新=あたらしい」。草木が枯死して新しくなろうとする状態。訓読みでは、かのと。 ・壬 壬は「妊=はらむ」。草木の種子の内部に新しいものがはらまれる状態。訓読みでは、みずのえ。 ・癸 癸は「揆=はかる」。草木の種子の内部にはらまれたものが次第に形作られている状態。訓読みでは、みずのと。陰陽五行説と十干の組み合わせ
十干が陰陽五行説と結びつくと 甲・乙を木、 丙・丁を火、 戊・己を土、 庚・辛を金、 壬・癸を水 に 割り当てた上で陰陽に分け、 甲・丙・戊・庚・壬を陽の干で兄(え)、 乙・丁・己・辛・癸を陰の干で弟(と) と定めました。 同じ気であってもその性質に大きな差があります。 例えば、火気の陽の干である丙は太陽の光熱を、 火気の陰の干である丁はろうそくの光を当てはめることができます。 また、水気の陽の干である壬は海を、 水気の陰の干である癸には水滴をといった具合です。 陰陽説と五行説との組み合わせによって十干に新たな意味づけがなされたことがわかります。干支と十干との60の組み合わせ
さらに、干は支と組み合わされる時、陽は陽と、陰は陰としか結びつかないため120通りではなく最小公倍数の60通りになります。組み合わせはそれぞれを歯車で例えるとわかりやすいと思います。
命主占法では
十干は天干、
十二支は地支ともいわれ、
十二支で方位を
十干で生まれ持った本来の性質を見ます。
また、十干にはそれぞれに運気を上げる色やアイテムがあるといわれています。四柱推命を見る方はぜひ参考にしてください。
| 五行 | 十干 | 五色 | 宝石 | 花 | アイテム | |
| 木 | 甲・乙 きのえ・きのと | 木の兄と弟 | 緑 | エメラルド・翡翠 | 甲は桃・桜・松・梅。乙は観葉植物、竹。 | 木・植物 |
| 火 | 丙・丁 ひのえ・ひのと | 火の兄と弟 | 赤 | ルビー・アメシスト・ガーネット | ハイビスカス・アネモネ・チューリップ | 太陽・果物 |
| 土 | 戊・己 つちのえ・つちのと | 土の兄と弟 | 黄 | トパーズ・シトリン | たんぽぽ・パンジー・きんぽうげ | 山・土 |
| 金 | 庚・辛 かのえ・かのと | 金の兄と弟 | 白 | パール・ダイアモンド | 百合・くちなし・カスミソウ | 宝石 |
| 水 | 壬・癸 みずのえ・みずのと | 水の兄と弟 | 青 | アクアマリン・ブルートパーズ | ヒヤシンス・勿忘草・紫陽花・ラベンダー | 海・湖・水 |
十二支
十ニ支って?
十二支は、殷の時代に十二ヶ月を表す記号として用いられました。 子(し)・丑(ちゅう)・寅(いん)・卯(ぼう)・辰(しん)・巳(し)・午(ご)・未(び)・申(しん)・酉(ゆう)・戌(じゅつ)・亥(がい)の十二個あります。 後に戦国時代になって、それぞれ覚えやすい動物の名前が当てられました。 鼠(ね)・牛(うし)・虎(とら)・兎(う)・竜(たつ)・蛇(み)・馬(うま)・羊(ひつじ)・猿(さる)・鶏(とり)・犬(いぬ)・猪(いのしし)12ヶ月への配当
十干の干は幹を表し、十ニ支の支は枝をあらわしています。 子を一月に、丑を二月に、以下同様に順に当てはめていったと考えられていますが、 現在では寅が正月に割り当てられています。 これは立春正月が使われるようになったためです。 中国では時代によって正月が異なっていました。 周の時代には冬至を含む月(子)を正月に、 殷の時代にはそれより一ヶ月遅れた月(丑)を正月に、 夏の時代にはさらに一ヶ月遅れた月(寅)を正月にしていました。 十二支も草木の生長過程を十二段階に分けて名付けられたものでした。 旧暦一月。 ・卯 卯は茆(=しげる)。 陽の気が盛んとなり地上の万物がみな繁茂します。 瑞々しい緑で地上が覆われ明るくなって春が来たことを感じます。 旧暦二月。 ・辰 辰は振(=ふるう)。 陽の気が盛んになっ充満し万物はまぶしいほどの輝きを得ます。 雷は鳴り響き植物は伸びて成長の真っ只中です。 旧暦三月。 ・巳 巳は巳(やむ)。 陰の気は既にみな鎮まって陽の気が出尽くし最大になります。 万物がそれ以上生い茂ることのない極に達します。 旧暦四月。 ・午 午は忤(さからう)。 陽の気は最大になって、陰の気も徐々に現れ陽の気と争いを始めます。 万物が繁茂の極を過ぎて衰微の傾向が見え始めるころ。 旧暦五月。 ・未 未は味または昧(くらい)。 陰気がすでに成長し万物がようやく衰え体がかくれ暗くなること。 草木に実った果実が成熟して本来の味や持ち味を生じる状態。 秋の気配が漂っています。 旧暦六月。 ・申 申は呻(=うめく) 。 陰の気が次第に強まり万物を締め付け、草木に実った果実が成熟して 固まって行く状態。 旧暦七月。 ・酉 酉は酎(=さけ)。 万物が老い極まって成熟すること。 草木に実った果実の成熟が極限に達した状態。秋の収穫の頃。 旧暦八月。 ・戌 戌は滅(=ほろぶ)。 万物は熟しきり、陽の気はすべて地下に入してしまう。 草木が枯れているように全く動きのない状態になります。 旧暦九月。 ・亥 亥は門構えに亥と書いて閉じる。 陽の気はすべて地下に潜入して、生命力は種の中に閉じ込められる。 凋落した草木の種の中に新しい生命が表れ来春の陽気を静かに待つ姿です。 旧暦十月。 ・子 子は孳もだえる。 陽気が動き出して万物が芽生えること。 草木の種が土の中で水分を吸収し、やがて来る春に向かって芽を出そうと準備をはじめた姿。 旧暦十一月。 ・丑 丑は紐(=ひも)。 陰の気が次第に減少して陽の気が増し、種子の内部で萌芽が膨らんでくるが、 未だ十分に伸び得ないでまだ皮を被って外に顔を見せない状態。 旧暦十二月。 ・寅 寅は虫偏に寅と書いて蠢く。 陰の気が減少して、陽の気が地下から地上に上昇するため、 草木の芽がようやく地面に顔を出して初々しい位元気な姿をあらわします。木星と十二支
もともと十二支は五惑星のうち最も大きく尊貴とされていた木星=歳星の運行から来たものとされています。 中国古代書「爾雅(じが)」によると 木星の公転周期(およそ十二年)にちなんで天空にあり、木星の位置を示すものとして十二支が生じた、とあります。 木星は太陽や月とは逆に西から東に向かって移動するので仮想的な木星を考え、これを東から西に移動するようにしました。 この仮想的な木星は神格化されて太歳(たいさい)と呼ばれています。 そして、この太歳のいる場所に付けられたのが十二支なのです。 (太陽の周りを30年かけて回るのが土星です。 木星と土星が直列するのは12年と30年の最大公約数である60年に一回です。 西洋占星術のいう60年周期説もここに根拠があります。 経済学説のコンドラチェフの景気波動説も60年周期ですね。)十二支の配当まとめ
十二支は陰陽や五行を始め、いろいろなものに配当されました。 まとめると次のようになります。| 十二支 | 陰陽 | 五行 | 時間 | 太鼓の数 | 方位 | 季節 |
| 子 | 陽 | 水 | 23時~翌1時まで | 9 | 真北 | 冬 |
| 丑 | 陰 | 土 | 1時~ 3時まで | 8 | - | 冬 |
| 寅 | 陽 | 木 | 3時~ 5時まで | 7 | - | 春 |
| 卯 | 陰 | 木 | 5時~ 7時まで | 6 | 真東 | 春 |
| 辰 | 陽 | 土 | 7時~ 9時まで | 5 | - | 春 |
| 巳 | 陰 | 火 | 9時~ 11時まで | 4 | - | 夏 |
| 午 | 陽 | 火 | 11時~ 13時まで | 9 | 真南 | 夏 |
| 未 | 陰 | 土 | 13時~ 15時まで | 8 | - | 夏 |
| 申 | 陽 | 金 | 15時~ 17時まで | 7 | - | 秋 |
| 酉 | 陰 | 金 | 17時~ 19時まで | 6 | 真西 | 秋 |
| 戌 | 陽 | 土 | 19時~ 21時まで | 5 | - | 秋 |
| 亥 | 陰 | 水 | 21時~ 23時まで | 4 | - | 冬 |
方位への割り当て
二十四山方位では、15度ずつ区切って配当されます。 十二支と北斗七星の動きを組み合わせて日の吉凶を見るのが十ニ直と呼ばれるものです。 また、時間へは1日を12等分して 2時間(一時/いっとき)ずつ配当されます。これを十ニ辰刻法といいます。 そろぞれ太鼓を打って知らせました。 一辰刻は四刻、一刻は十分(じゅうぶ)とされました。 辰刻の最初の刻が一刻です。 鐘の打ち数で昼と夜に同じ打ち方があるので、 明・朝・昼・夕・暮・夜・暁と時刻を示す言葉を頭につけて区別しました。 暮れ六つなどがその例です。 1日=12辰刻=48刻=480分で太陰太陽暦は出来ています。 また別に一日を100等分して、それぞれを一刻としました。 刻は初刻=午前11時から八刻までありました。 ですから一辰刻は八刻三分の一となります。 丑三つ時というのは、丑の三刻で 午後2時前後の真夜中を、 昼の八時(やつどき)は午後3時ほどでおやつを食べて一休みする時として 今も使われています。 東西南北を四正(しせい)、 その中間である東北・東南・西南・西北を四隅(しぐう)と言います。 東北の隅には丑と寅(うしとら=艮)が、 東南の隅には辰と巳(たつみ=巽)が、 西南の隅には未と申(ひつじさる=坤)が、 西北の隅には戌と亥(いぬい=乾)が配されています。 艮の方位を鬼門、 その反対側の坤の方位を裏鬼門といいます。 また北極と南極を結んだ線が子午線と呼ばれるのもここから来ています。 午前・午後など身近な呼び名もうなずけますね。 二十四山方位は、コンパスで座山や門位などを見るときによく使います。| 二十四山方位 | 角度(各15度) |
| 子 癸 丑 艮 寅 甲 卯 乙 辰 巽 巳 丙 午 丁 未 坤 申 庚 酉 辛 戊 乾 亥 壬 | 352.6~7.5度 7.6~22.5度 22.6~37.5度 37.6~52.5度 52.6~67.5度 67.6~82.5度 83.6~97.5度 97.6~112.5度 112.6~127.5度 127.6~142.5度 142.6~157.5度 157.6~172.5度 172.6~187.5度 187.6~202.5度 202.6~217.5度 217.6~232.5度 232.6~247.5度 247.6~262.5度 262.6~277.5度 277.6~292.5度 292.6~307.5度 307.6~322.5度 322.6~337.5度 337.6~352.5度 |
